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2006年4月掲載 過剰反応が混乱を
提言35 ~個人情報保護法(3)~ 元相模原市議会議員
本間 俊三

 個人情報保護法が施行されて1年になる。以来私はこの法の問題点を指摘し続けてきた。本紙においては昨年7月と8月、『提言』を述べ、また駅頭においても訴えてきた。読売新聞は、秋頃から特集を組んで「異議あり匿名社会」として掲載している。そして今、法改正の声まで挙がるようになってきている。
 
緊急連絡網の廃止も
 企業や団体の情報管理の不手際による、様々な情報管理の甘さが、よくメディアで話題にのぼる。自治体では、従来公開情報であったものが、法施行後、法を理由に都合の悪い情報は秘匿されたそうだ。教育現場においても、過剰反応とも思える事態が報告された。授業参観日に下駄箱の名前を隠したとか、緊急連絡網を廃止し友達にも恩師にも年賀状を出せなくなったとか。また教師が卒業とともに教え子の資料を処分し、生徒との思い出の写真も持たせないほど徹底しているところもあるという。混乱は他にも広がっている。自治会や趣味のサークルでも名簿や連絡網作成をためらっている。法が適用されない規模の団体にも拡大解釈や過剰反応が起こっているのだ。

本来の目的は
 本来この法は個人の権利や利益を守ることを目的に、その管理や取扱について定めたものであった。にもかかわらず不正な情報流出は後を絶たず、業者間では名簿が商品として売買されている。我々が最も恐れることは名簿情報が悪徳業者の手に渡り、犯罪に使われることであろう。ところが今の法ではこれを抑止することには無力である。
 個人情報の保護は、人権尊重の観点からも重要なことである。しかし現実問題として最も恐れることは、犯罪へ巻き込まれることであり、抑止力としての罰則の強化こそが求められる。更に教育の力で人権が尊重される温かい社会になれば、個人情報の漏洩による不安はなくなるのである。


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