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2004年12月掲載 学校給食と教育
提言19 ~民間委託の行方~ 元相模原市議会議員
本間 俊三

 学校給食の歴史は、山形県鶴岡市私立忠愛小学校で明治22年に始まったと言われる。当時は貧困家庭の児童を対象に、「ご飯と塩鮭に漬け物」という素朴なメニューだった。給食の初期の目的は貧困救済であり、児童の身体育成であった。世の中が豊かになるにつれ、給食は教育活動の一環として定着し、今では正しい食事習慣・食事を通した社交性・栄養・食料の生産などを学ぶ機会にもなっている。

■議論になっていること
 そんな「給食文化」が現在、様々な議論を巻き起こしている。
(1)安全性と事故時の責任所在(異物混入事件などではうやむやになることが多かった)
(2)栄養士と調理師の権限・責任や対立時の人事管理上の責任所在
(3)保護者の過敏な反応や介入に対する行政の及び腰
(4)コスト高の問題
 特に(4)の問題に関してだが、公務員である栄養士や調理師の年収が「民間の倍」の700万円であると言われている。学校給食を官が行う理由は何なのか?その答えの一つは、給食は教育の一部であり、また「行政の仕事」であるという考え方だ。

民間委託論と対立
 それに対し民間委託論は、給食の調理部分を外部委託しても、正しい食事習慣・社交性・栄養・食料についての学習に支障にならないと説明する。またよく議論になる安全性や責任の取り方で、官と民にどれだけの差があるだろうか。医療事故の例をとると、目立つのは官の方だ。更に、人事管理の官民差はどうだろう。
 保護者対応を消費者対応に置き換えた場合、民間の方がはるかに進んでいるとも言える。今日企業は、国民・消費者の信頼を失ったとき企業生命を問われることを学んでいる。配置転換で済む官とは違うのである。また、コストについても大きな差が出来る。
 官は、官でしかできない事業に集約したらどうだろう。

【現在の学校給食の一例】
【食材も豊富】
【子供たちには楽しい給食だが…】

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