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2006年7月掲載 騙す人と騙される人
提言38 ~事件の登場人物~ 元相模原市議会議員
本間 俊三
正常な社会とは?
 先日のニュースで、大学生が男女関係の些細なもつれから対立する仲間を生き埋めで死亡させたことが報じられた。次々と発生するこのような事件はあまりの多さに名前や場所内容などが混乱する程だ。犯罪白書によれば、戦後増え続けた刑法犯認知件数が、平成14年を境に幾分減少してきている。これは警察行政や市民の努力の結果といえるが、犯罪の中身は決して予断を許さない。

詐欺事件の増加
 窃盗事件は大幅に減少している反面、それ以外の刑法犯が急増し昨年は戦後最悪となった。特に目立つのが、殺人と詐欺事件である。マスコミではあまり取り上げなくなった「おれおれ詐欺」や「振り込め詐欺」、これらは形を変え手口も巧妙化して、被害者はますます増加している。さらには催眠商法なども市民社会に深く静かに潜行している。
 そしてあの堀江被告。彼はインサイダー取引や粉飾決算により一般投資家に大きな損害を与え、投資家を騙したことになる。

騙される人が悪い?
 前述のような事件に対し、『騙される人も悪い』と聴くことが多くなった。それは規制緩和が進み自己責任の思想が定着したからともいえる。振り込め詐欺においては被害者にも油断や落ち度はあったかもしれぬ。こんなにマスコミも行政も注意を喚起しているのに引っかかるのだから…。しかし犯人は組織化されプロ集団である。ライブドア株で被害にあった一般投資家にしても粉飾を見抜くことは不可能で、虎の子の貯金や老後の蓄えを失った人は多い。騙された人の自己責任で片付けて良いものだろうか。この世に『騙されやすい人』は多い。騙された人が悪いというのでなく、騙した者の責任を厳しく糾弾する社会こそ正常だと思う。

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