トップページへ戻ります。
2006年3月掲載 地球温暖化が及ぼす影響
提言34 ~森林破壊と大規模気象災害~ 元相模原市議会議員
本間 俊三

東ティモールで見たもの
 先月、フィリピンレイテ島において大規模な地滑りが発生し、多くの尊い命が奪われた。発生原因は森林の違法伐採とも豪雨による天災とも言われ、立場によって見解が分かれているようだ。しかしその惨状は凄まじいもので、山は形を変えるほど大きくえぐり取られ、村がすっぽり飲み込まれてしまった。
 報道写真を見てもう一つ驚いた。被災者が呆然と立つ背後の山に、森がほとんど無いことである。これと同じ景色を私は2年前に空から見た。独立して間もない東ティモールにマングローブ植林に行ったときに、飛行機の窓から見た延々と続くはげ山だ。飛行機を降り、車で移動するときいくつもの橋を渡ったのだが、その何れの川にも水は流れていなかった。
 東ティモールは、インドネシアの東部にあり決して砂漠地帯では無く、乾期はともかく雨期になれば相当の降雨量があるはずである。保水能力のない山に、大量の雨が降ったらどうなるか?この度のレイテ島の災害が重なって見えた。

生態系の変化も
 森林破壊は、もう一方で地球温暖化を招いている。それは温暖化の原因となる二酸化炭素を吸収あるいは固定化している植物の減少により、発生と吸収のバランスが崩れ、地球上の二酸化炭素が加速度的に増加するからである。地球の温暖化は、単に気温の上昇にとどまらず、海水温度の上昇をも招く。このことは、莫大なエネルギーの増加であり、台風は勢力を増し、ハリケーンは巨大に発達し、梅雨前線の異常発達する原因ともなる。また、温暖化がもたらす大陸の砂漠化のメカニズムについてもテレビの報道特集は詳しく伝えていた。アフリカ大陸や中央アジアの砂漠の拡大、まさかと思われるアマゾン流域の砂漠化。
 異常気象や気候の変動は、単に気象災害や砂漠化をもたらすだけでない。生態系を変化させ、農作物にも大きな影響を及ぼし、人類の生存に大きな影響を与える。

目をそらしてはいけない
 しかし私たちは、地球温暖化も異常気象も他人事と思っていないだろうか。この冬も昨年に続き東北・日本海沿岸で記録的豪雪に見舞われ多くの被害を出した。またここ数年、日本各地で集中豪雨や台風の直撃による被害も目立っている。これらも温暖化と決して無縁ではない。
 これから梅雨や台風の季節を迎えるが、洪水や強風への備えを怠ってはいけない。同時に、今静かに着実に進行している地球温暖化からも目をそらしてはいけない。


コラムメニューへ戻る     HOME