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2005年7月掲載 地域連携の危機
提言26 ~個人情報保護法~ 元相模原市議会議員
本間 俊三

 個人情報保護法が施行されて3ヵ月になる。法律の内容はマスコミやパンフレット等で紹介されているが、法律の名前からくる誤解も数多く見受けられる。一番多い誤解はプライバシー保護との関連だ。そのため住所や連絡先を秘匿することがファッションのように捉えている向きもある。

リストが作れない
 法は国や自治体に対し情報の取扱について責務を課し、取扱事業者には情報の目的外利用や外部流出の防止を義務づけて、個人の権利利益を保護しようとしている。そして取扱事業者は5千人以上の情報所有者と定めている。それなのに世間は過敏に反応を示し、様々な活動にブレーキがかかってきている。団体や自治会で会員名簿やリストを作成すると、歯が抜けたように空欄が出来る。誰にでも私生活情報や他人に知られたくない情報はある。しかし住所や連絡先などの個人情報は個人を識別する情報であって、プライバシー情報とは意味が違う。

怖いのは情報の悪用
 我々が一番おそれるのは、情報の悪用である。犯罪に利用されたり、悪質な商品の勧誘は社会不安の要因である。最近、個人情報の大量流出は後を絶たず、その情報は地下組織によって売買され、一般市民が様々な犯罪の被害者になるケースが多い。個人情報の流出防止も大切であるが、不正入手した情報の悪用をくい止めることは緊急の課題だ。例えば抑止力としての罰則強化であるが残念ながら保護法には触れられていない。

人と人との連携が大切
 心配するのは、人々が法の誤解から個人情報に過敏になり秘匿が進み、身近な地域活動や連携に支障が出ることである。災害や犯罪に強い街、弱者や高齢者が地域の中で安心して暮らしてゆける街は人と人との連携で成り立つ。その連携が今危機にある。


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